多価不飽和脂肪酸も単独ではガンと戦いきれない
多価不飽和脂肪酸を自己流に大量摂取するのは、他の抗酸化物質と組み合わせて摂取する場合以外はあまりお勧めできません。多価不飽和脂肪酸はそれ自体が非常に酸化され易い物質です。そのため自然界では常に何らかの抗酸化物質と組み合わされた形で存在します。たとえば、多価不飽和脂肪酸を多く含む植物は、普通はビタミンEも含んでいるものです。このようなビタミンEは、その植物が多価不飽和脂肪酸を酸化から守るために自分自身で合成した場合が多いのです。抗酸化物質の同時併用をせずに、多価不飽和脂肪酸を単独で魚油ないしは植物から摂取すると、活性酸素負荷に自らを曝すようなものです。危険な過酸化脂質を自ら作り出すことになるからです。心臓病の予防の目的で魚油を投与した実験で、投与したオメガ三自体はそれなりに効果を示したものの、抗酸化物質による補助がなかったため、心臓に害をなす過酸化物質が生成されて、折角のメリットが相殺されたケースもあります。もしも、これだけの証拠でまだ納得されない向きには、もう1つの動物実験の例を述べましょう。
抗酸化物質で保護しない限り、多価不飽和脂肪酸の大量摂取は良いアイデアではありません。この場合、ビタミンEの栄養補助が伴わなければ、動物実験でも反対にガンのリスクが増加し、余命も短縮されるという結果が明らかになっています。
クレイトン博士の「英国流医食同源」 ~発ガン性物質があふれる現代を賢く生きる~(翻訳版)の内容を転載しています。
当コンテンツは、現代人の食生活に関する問題や身体を守る抗酸化物質に関する豊富な研究結果を元に、多くの消費者の誤解の本質を解き、健康な食生活の実践を啓蒙している、論文『クレイトン博士の「英国流医食同源」~発ガン性物質があふれる現代を賢く生きる~』の内容を転載しております。