せめて食事に気を配る(システムのメンテナンス)
一方、この同じ理屈は、そのまま反対の事実の説明にもなります。すなわち、少なからぬ数の喫煙者がけっこう活性酸素の脅威を生き延びて、それなりの寿命を保つという事実もあります。その説明の定説として、こういう人々は何らかの形で活性酸素防御システムがうまく作動しているから、というものです。遺伝的要因もありましょう。たまたま抗酸素酵素を作り出す能力が高いという説明もありましょう。でも、最も説得力のある説明は、おそらく、食生活でしょう。つまり、抗酸化特性の強い栄養素を含んだ食事を摂っているから、というものです。読者が、どうしても喫煙を止められない場合には、せめて食事に充分気を配り、抗酸化性の観点から「鍵」となるような食品を摂取するように努力することにより、活性酸素から受ける損傷を最小限に抑えるのが賢明と思います。
しかし、活性酸素の被害を受けるのは喫煙者だけではありません。運動量の過多も活性酸素を増やします。運動をすれば呼吸が早くなり、より多くの酸素を消費します。そして、体内で酸素の消費が進むにつれて活性酸素の生産もそれだけ増加します。活性酸素は代謝の副産物だからです。運動を止めるようにお勧めしているつもりはありません。運動は気分を良くするだけでなく、一般的には健康にも良いからです。しかし、もう一方の反対側の事実、つまり、トップレベルの運動選手の平均寿命は短いという事実も見逃せません。けだし、「過ぎたるは及ばざるがごとし」は名言です。
クレイトン博士の「英国流医食同源」 ~発ガン性物質があふれる現代を賢く生きる~(翻訳版)の内容を転載しています。
当コンテンツは、現代人の食生活に関する問題や身体を守る抗酸化物質に関する豊富な研究結果を元に、多くの消費者の誤解の本質を解き、健康な食生活の実践を啓蒙している、論文『クレイトン博士の「英国流医食同源」~発ガン性物質があふれる現代を賢く生きる~』の内容を転載しております。