活性酸素に対する防衛システムが寿命を決める
およそ20年前、専門の研究者を除けば活性酸素についての知識のある人はほとんどいませんでした。今では、タイム誌、ニューズウイーク誌、等の世界的な有名メデイアから、健康関連雑誌まで含めて、活性酸素についての記事はまさに花盛りです。本書の読者の中にも、活性酸素こそ健康全般の鍵であり、長寿の鍵だと考える人も多いかと思います。いささか行き過ぎの嫌いはありますが、でも、確かに活性酸素は色々な病気、特に最後には我々人間に死をもたらすいろいろな病気に様々な形で関連しているのは間違いのない事実です。最近では、特に老化現象に深く関わっているということが明らかになりつつあります。その結果、ちょうど約50年前に起こった抗生物質の発見の時と同じように、多くの科学者が活性酸素の研究こそ人間の健康にとって、大きなインパクトを与えるものだと信じて、日夜研究に励んでいるところです。
おそらく現在は、100を超える薬剤としての抗酸化物質が大手の製薬会社によって研究開発の途上にあると思われます。最初のもの、つまり第1波はすでに登場しており、心臓発作、潰瘍性大腸炎、歯周病、などのさまざまな病気の治療にに目覚ましい効果を挙げていると報告されています。しかし、それですべてではありません。これはまだスタートに過ぎません。第2波は冠状動脈疾患、ガン、関節炎などが対象になるでしょう。今日、難物とされている多くの病気もいずれ将来は、ありふれたなんでもない病気になり、症例の数も少なくなっていくでしょう。平均寿命も伸びて、老化ということに対する人々の心の持ち方まで変化すると考えられます。
このところ、活性酸素については確かに「騒ぎ過ぎ」現象がありますが、考えてみれば、活性酸素は別に最近になってから急に発生したわけではありません。生物がこの地球上に誕生して以来ずっと存在しているもので、あらゆる生物はこれらの破壊的性格を持った活性酸素に対するそれぞれの自己防衛システムを進化させてきたのです。事実、自然の経験則では、活性酸素に対する防衛システムがうまく出来ているかどうかで寿命の長さが決まると言っても過言ではありません。たとえば、ヒトや象などの防衛システムは、ハツカネズミのような寿命の短い動物のシステムよりははるかにうまくできているのです。
ヒトの中でも、このシステムがうまく働かない人は短命なわけです。遺伝的にこの対活性酸素防衛システムに不具合がある場合がまれにはありますが、そういう場合は、老化が早かったり、若いうちに病気をしたりして、結局は生き残れないのです。食生活の中で、この活性酸素防衛システムに必要なミネラル類が不足すれば、結果は同じです。心臓疾患、ガン、関節炎その他の病気に掛かる可能性が大きくなるからです。
クレイトン博士の「英国流医食同源」 ~発ガン性物質があふれる現代を賢く生きる~(翻訳版)の内容を転載しています。
当コンテンツは、現代人の食生活に関する問題や身体を守る抗酸化物質に関する豊富な研究結果を元に、多くの消費者の誤解の本質を解き、健康な食生活の実践を啓蒙している、論文『クレイトン博士の「英国流医食同源」~発ガン性物質があふれる現代を賢く生きる~』の内容を転載しております。